エアコン停止からわずか15分で車内温度が10℃も上昇
真夏の炎天下ではエアコンを停止すると、車内温度は予想をはるかに超えて上昇します。
炎天下に駐車した場合、車内は1時間で50℃を超えることもあります。さらに、直射日光を受けるダッシュボードは、70℃以上の高温に達している可能性があります。そのような状況下では、当然さまざまな危険が想定されます。
まず思い浮かぶのは、短時間で脱水症状や熱中症が進んでしまう、人やペットの命にかかわるような事故です。また、車内が無人の状況で、炎天下のダッシュボードに放置したモバイルバッテリーが高温のために出火した事例も、確認されていています。夏場の車内には、思いがけないトラブルの要因が潜んでいます。
今回は身の回りにあるもので、炎天下の車内に放置してはいけないものを、いくつかご紹介します。
真夏の外気温度35℃の炎天下での車内温度の上昇
エアコンで冷やした車内でも、エアコンを停止すると、またたく間に車内温度は上昇します。
エアコン停止 | 車内温度の変化 |
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15分後 | 10℃上昇するといわれる |
30分後 | 15~20℃上昇するといわれる |
1時間後 | 最高温度が50℃を超えることも。ダッシュボードはさらに高温に |
3時間後 | 50℃以上が続く。ダッシュボードの最高温度は75℃を超える可能性も |
夏の車内に置き忘れていませんか?
炎天下の車内に放置してはいけない “身の回り品” の一例
- リチウムイオン電池を内蔵したモバイルバッテリー
- リチウムイオン電池を内蔵した携帯用扇風機(ハンディファン)
- 乾電池
- スマホ、タブレット、ノートパソコンなどの精密機器
- ライター
- スプレー缶
- メガネ、水入りのペットボトル、透明の吸盤
- 炭酸飲料のペットボトル
リチウムイオン電池を内蔵したモバイルバッテリー、携帯用扇風機 |
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リチウムイオン電池は直射日光や高温多湿に弱く、最悪の場合は発火する危険があります。モバイルバッテリーに関しては、夏の炎天下で車内に放置したことによって発火し、周辺を焼損した事例があります。リチウムイオンバッテリーを採用した製品では、スマホ、タブレット、ノートパソコンや携帯用扇風機も、破裂や発火につながる恐れがあるといわれています。 |
乾電池 |
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乾電池を高温の車内に置いておくと、液漏れや発火の危険があります。使用済みの乾電池を、車内に置きっぱなしにしていませんか。置き忘れにご注意ください。 |
スマホ、タブレット、ノートパソコンなどの精密機器 |
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スマホやタブレット、ノートパソコンなどの精密機器は、高温多湿に弱く夏の車内に置き忘れると、故障の原因となります。あわせて、内蔵されたリチウムイオンバッテリーが過熱して破裂したり、発火したりする可能性もあります。スマホをカーナビの代わりに使用している場合、スマホホルダーに置いたまま車から離れるのは、短時間であっても危険です。 |
ライター |
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加熱されたライターガス(ブタン)が気化してライター容器内で膨張し、ライター容器が破裂する可能性があります。また、破裂しなくともケースに亀裂が入り、ライターガスが車内に漏洩することも考えられます。漏洩したライターガスは着火し爆発を引き起こす危険性があります。 |
スプレー缶 |
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スプレー缶内の可燃性ガスが気化して膨張し、缶が破裂する可能性があります。金属缶の破裂は相当な威力です。衝撃で窓ガラスが破損し、周囲の人にまで被害を及ぼすことも考えられます。制汗剤、虫除けスプレー、簡易調理器用ガスボンベなど、スプレー缶は意外と車に積まれている可能性 があります。使用後は車内に放置せず、自宅に持ち帰る習慣を身に付けることが必要です。 |
メガネ、水入りのペットボトル、透明の吸盤 |
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メガネや水入りのペットボトル、透明なものをダッシュボードの近くに置くと「収れん火災」が起きてしまう危険性があります。収れん火災とは、メガネなどのレンズに太陽光が一点に集中して引き起こされる火災です。太陽光が集中する先に紙や布などがあれば、短時間で火災になることも。実際に収れん火災で、シートが焦げた、ダッシュボードが溶けた、雑誌が燃えたなどの事例があります。サンシェードの吸盤が透明ではなく色付きになっているのも、このためです。 |
炭酸飲料のペットボトル |
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夏場の車内に置きっぱなしにしていると、ペットボトル内の炭酸ガスが膨張して爆発する恐れがあります。また、ペットボトルの蓋は堅いプラスチックでできており、爆発すれば窓ガラスにヒビが入るほどの衝撃があります。飲みかけのペットボトルでも、内部の空気が多いと危険です。 |
夏場の車内には、思いがけないトラブルの要因が!
数分で済む用事のはずが、思いのほか時間がかかってしまうことは少なくありません。短時間だと思い、何も確認せず車を離れてしまうと、予期せぬことが大きな事故につながる可能性があります。
2024年も猛暑が到来し、危険な暑さが続く見込みです。熱中症対策を万全にするとともに、車内に可燃性の高いものや、発火の可能性があるものを放置しないよう、ご留意いただけますと幸いです。
今年の夏も、安全第一で快適なドライブをお楽しみください。